伊藤誠 ep.1225 クリぼっち篇
コーディネート誇るこの時期の公園のベンチはどれだけ座っても暖かくならないし、コンビニのコーヒーも3分で冷める。 彼女できたことない歴=18−中3の年齢、である俺ができるのは、イブにカップルが道端に捨てていったものをゴミ箱に入れるだけなのであった。 最近はスマホの世界に入り浸ることも少なくなってきたので、外に当てもなく彷徨ってみると今日だけは街の男女比がちょうど1:1のように思えた。 メリークリスマス。
今ちょうど、1組のカップルが、今日の思い出が詰まったゴミ袋をゴミ箱に入れてどこかに去っていった。
ゴミ袋は一瞬だけ弱々しい音を立てて、また公園は静寂に包まれたのだった。真冬の公園で俺を温めたのは、体内から放出される小便の湯気のみだった
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